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「実家じまい」は、いつ・何から始めればいいのか――残置物・解体・売却のタイミング整理

ご相談のなかで、ここ数年とくに増えているのが「実家じまい」のお話です。親御さんが施設に入られた、あるいはお亡くなりになった。誰も住まなくなった実家が、磐田や袋井に残っている。けれど、何から手をつければいいのか分からないまま、気づけば一年、二年と過ぎてしまう。そんなお声をよく伺います。

実家じまいは、一日でケリがつくものではありません。家の中の片づけ、建物をどうするか、土地をどう活かすか、税金や手続き――いくつもの判断が、それぞれ別のタイミングでやってきます。どれも「正解がひとつ」ではなく、ご家族の事情によって最適な順番が変わります。今回は、つまずきやすいポイントを「片づけ」「解体」「売却」の三つに分けて、いつ・何を考えればよいのかを整理してみます。不安を煽るためではなく、見通しを持って一歩を踏み出していただくための地図のつもりで読んでいただければ幸いです。

ステップ1:まずは「残置物(家の中のもの)」の整理から

実家じまいで多くの方が最初に直面するのが、家財道具や生活用品、いわゆる残置物の整理です。長年暮らした家には、想像以上にものが残っています。そして、ここでつまずく理由は「量」だけではありません。

ひとつは、気持ちの問題です。親御さんの思い出が詰まったものを前に、手が止まってしまうのは自然なことです。無理に急ぐ必要はありませんが、写真や手紙など本当に残したいものと、処分してよいものを少しずつ仕分けていく作業は、早めに始めるほど心の負担が軽くなる傾向があります。

もうひとつは、相続が関わる場合の注意点です。亡くなった方の家財をすべて処分したり持ち帰ったりすると、状況によっては「相続を承認した(単純承認した)」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる可能性があります。借金など負債の有無がはっきりしないうちは、価値のあるものの処分は慎重にしたほうが安全です。判断に迷う場合は、片づけを本格的に始める前に専門家へ確認しておくと安心です。

実務上のチェックポイントを挙げておきます。残したいもの(写真・書類・貴重品・形見)を先に確保する。通帳・権利証・保険証券・登記関係の書類は処分せず必ず保管する。大型家具や家電の処分方法と費用感を早めに把握する。仏壇やお墓に関わるものは別途方針を決める。これらを最初に押さえておくと、後の解体や売却がスムーズに進みます。

残置物の撤去は、解体や売却の前提になります。建物を解体するにも、家を売るにも、まず中を空にしておく必要があるためです。逆に言えば、ここが進まないと先のすべてが止まってしまう。だからこそ、最初の一歩として位置づけられることが多いのです。

ステップ2:「解体するか・残すか」の判断

中が片づいてくると、次に考えるのが建物そのものをどうするかです。大きく「解体して更地にする」か「建物を残したまま売る」かの二択になりますが、これは費用と税金、そして買い手のニーズが絡む、悩みどころです。

まず費用の目安です。木造住宅の解体費用は、構造や立地によって幅がありますが、坪あたりおおむね3万〜5万円程度が一般的な相場とされています。30坪の家なら90万〜150万円ほどが目安です。ただし、近年は人件費や運搬費の上昇で相場は上がる傾向にあり、古い家で断熱材や内装材の分別に手間がかかる場合や、重機が入りにくい立地では割高になります。これはあくまで全国的な目安なので、実際には複数の業者から現地見積もりを取って比較することをおすすめします。

ここで知っておきたいのが、解体すると土地の固定資産税が上がる場合があるという点です。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税が軽減されています。建物を取り壊して更地にすると、この軽減がなくなり、翌年から税負担が増えることがあります。「解体したらすぐ売れる」と見込めるなら問題は小さいですが、更地のまま長く持ち続ける場合は、この点を頭に入れておく必要があります。

一方で、解体したほうが売りやすいケースもあります。古い家がそのまま建っていると、買い手が「解体費用を自分で負担しなければならない」と考えて敬遠しがちです。更地にしておけば、買い手は土地としてイメージしやすく、住宅メーカーや新築希望の方にも届きやすくなります。どちらが有利かは、建物の状態・立地・想定される買い手によって変わります。

判断の軸を整理すると、建物の傷みが激しく住める状態でないなら解体が現実的、まだ使えそうなら中古住宅として売る選択肢も残る、解体後すぐ売れる見込みがあるか・更地で持ち続けるリスクはどうか、といった点を天秤にかけることになります。ここは地元の相場と買い手の動きを知っている地域の不動産業者に相談すると、判断がぐっとしやすくなる部分です。

ステップ3:「売却」のタイミングと税金の特例

片づけと建物の方針が定まったら、いよいよ売却です。ここで最も意識していただきたいのが、税金の特例には「期限」があるという点です。

相続した実家を売る場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得(売却の利益)から最大3000万円を差し引ける「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、いわゆる空き家の3000万円特別控除が使える可能性があります。これは、亡くなった方が一人で住んでいた家を相続して売るときの制度で、税負担を大きく抑えられる場合があります。

ただし、この特例にはいくつかの条件があります。主なものを挙げると、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム等に入所していた場合も一定要件を満たせば対象)、区分所有建物でないこと、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること、そして耐震基準を満たすか、建物を取り壊して売ること、などです。さらに、この特例の適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡とされています。なお、令和6年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合の控除額は一人あたり2000万円になるなど、細かな改正もあります。

ここで大切なのは、「相続から3年を経過する年の年末まで」「特例期限の2027年末まで」という二つの期限を意識することです。片づけや解体に手間取って売却が遅れると、せっかくの特例が使えなくなってしまうこともあります。実家じまいの全体像を早めに描いておくことが、結果的に大きな差につながります。税制は複雑で、適用できるかどうかは個別の事情によって変わりますので、見込みが立った段階で必ず税理士や税務署に確認してください。

磐田・袋井で実家じまいを考えるときに

ここまでは一般的な話ですが、磐田市・袋井市で実家じまいを進める場合に、地元ならではの押さえどころがあります。

ひとつは、磐田市の解体補助制度です。磐田市には、一定の要件を満たす危険な空き家の解体費用を補助する「磐田市危険空き家等除却事業費補助金」があり、対象工事費の2分の1以内・上限50万円が補助される仕組みになっています(昭和56年5月31日以前の建築であることなど、いくつかの条件があります)。さらに、この補助を受けて解体した場合、固定資産税・都市計画税の減免を受けられる場合もあります。先ほど「解体すると税金が上がる」とお伝えしましたが、磐田市ではこうした緩和措置が用意されている点は、知っておくと判断が変わるかもしれません。制度の要件や予算枠の状況は変わりますので、検討の際は磐田市建築住宅課へ直接ご確認ください。

もうひとつは、地域による土地の売れ方の違いです。磐田・袋井は内陸の住宅需要が比較的安定しているエリアですが、それでも場所によって買い手の付きやすさや価格感は大きく異なります。駅やバス路線、学区、近隣の開発状況など、地元の事情を踏まえた現実的な見通しが、売却タイミングの判断には欠かせません。「更地にすべきか」「いくらで・いつ出すか」は、全国一律の正解ではなく、その土地ごとの答えがあります。

私たちにできること

富士ヶ丘サービスは、もともと高齢者の介護・住まいの事業から始まり、その延長で「親御さんが施設に入られた後の実家」「相続した空き家」のご相談を数多くお受けしてきました。介護と不動産の両方を一つの窓口でご相談いただけるのが、私たちの特徴です。

実家じまいは、片づけ・解体・売却・税金・相続人どうしの調整と、いくつもの要素が絡み合います。私たちは「高く売る」ことだけでなく、残置物や解体の段取り、税金や特例の期限、ご家族が後で困らない進め方まで含めて、一緒に順番を整理させていただきます。磐田・袋井の地元の相場や買い手の動きも踏まえて、現実的なご提案を心がけています。

「まだ何も決まっていない」「とりあえず話だけ聞いてみたい」という段階のご相談こそ、私たちは歓迎します。早めに全体像を描いておくことが、税の特例を逃さないことにもつながりますし、何より気持ちの負担を軽くします。実家のことで気にかかっていることがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。

※本記事に記載の税制・補助制度の内容は2026年6月13日時点の情報です。制度は改正される場合があり、個別の適用可否はご事情によって異なります。実際の判断にあたっては、税理士・税務署、および磐田市の担当窓口に必ずご確認ください。

参考情報(出典)

  • 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」

  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

  • 磐田市「危険空き家解体費用の助成(磐田市危険空き家等除却事業費補助金)」

  • 磐田市「空き家解体に係る減額措置(固定資産税・都市計画税の減免)」

  • 木造住宅の解体費用相場に関する各種解体事業者・不動産メディアの公開情報

 
 
 

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